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面会交流拒否で100万円

弁護士コラム
東京家裁は、平成28年10月4日、「別居している母親と長女は月1回面会交流を行う」という審判が出ていたにもかかわらず、面会交流を拒否した父親に対し、1回の拒否につき100万円の支払いを命じました。
 
このような、面会交流を実現する義務者に対し、一定の期間内に履行しなければ、一定の不利益を課すことを間接強制(民事執行法172条2項)といいます。

今回は、①面会交流とは何か?②面会交流を拒否された場合の対処法、について解説いたします。

面会とは何か?

面会交流(民法766条1項)とは、子と離れて暮らすことになった親と子が交流するという制度で、離婚するときに協議して定めるべき事項の1つです。

面会交流は、子と離れて暮らしている親の権利なのか、それとも子の権利なのか、議論が分かれているところですが、最近では「子の福祉」という側面が特に重視されております。したがって、同居する親も離れて暮らしている親も、面会交流は子どもの健全な成育のために必要な制度として理解しておく必要があります。

子と同居する親の一方の判断で面会交流を拒否することや、面会交流を拒否されたから養育費を払わないということは、認められません。

 

面会交流を拒否された場合の対処法

1 調停
子と同居している親が面会を拒否した場合、面会交流を求める側の親は、面会交流の調停を家庭裁判所に申し立てることができます。

2 審判
調停で第三者を交えた話し合いをしてもまとまらない場合は、審判に移行します。審判では、家庭裁判所の裁判官が、子の福祉を考え面会交流の方法、頻度等を判断します。この審判で判断されたルールを約束したものとして、その後は面会交流を行っていくことになります。

3 間接強制
面会交流の審判に同居する親が従わなかった場合、間接強制が考えられます。間接強制で認められる額は、相場として数万円~10万円であったのに対し、冒頭の事例では100万円というかなり高額の判断がされたことで話題になりました。
 
もちろん、間接強制で認められる金額はケースバイケースですが、裁判所としては、子の福祉の観点から、同居親の一方的な判断だけで、子と他方の親との交流の機会が妨げられるのは好ましくなく、面会交流は原則的に実施すべきであるとの見解に立っていると考えられます。このため、間接強制による実効性は、今後高まっていくと考えられます。

他にも、面会を拒否した親に対する損害賠償請求や、親権者・監護者変更の申立ても考えられます。

面会交流についてお悩みになれられているお客様は、ぜひ一度ご相談にいらしてください。
 

投稿者プロフィール

高橋 善由記
高橋 善由記
弁護士 仙台弁護士会所属
専門分野:離婚
経歴:仙台生まれ。仙台第一高等学校卒業後、上智大学文学部英文科に進学。卒業後、平成14年に弁護士登録。勅使河原協同法律事務所(仙台)を経て、平成24年に高橋善由記法律事務所を開業し、現在に至る。主に離婚問題の解決に従事し、相談者の抱えている問題に寄り添いながら最適な方法を提案し、新たな人生の始まりをサポートしている。